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ソフトバンクはゲームの成長性に期待しない?ガンホー株売却の真意。

6月3日、ソフトバンクガンホー株を売却し、ガンホー持ち分法適用会社とはしないことが明らかとなりました。

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ソフトバンクグループがグループで保有するガンホー・オンライン・エンターテイメント株の約9割を売却することが明らかになった。ガンホーが3日深夜に発表した。ソフトバンクグループから1日に売却を打診されたという。ガンホーTOB(株式公開買い付け)により、株式を取得する。買い付け総額は約730億円となる。

日経新聞より引用

(ソフトバンク、ガンホー株の9割売却へ 730億円で :日本経済新聞)

 

売却が完了するとソフトバンクグループによるガンホー株の持ち分は2%あまりとなり、ガンホーソフトバンクグループの持ち分法適用会社ではなくなります。また、中国の電子商取引最大手・アリババ集団の株式を売却するなどして100億ドル(約1兆700億円)の資金を調達すると発表しています。ただし、アリババ株は売却後も引き続きソフトバンクグループが多く保有し、持分法適用会社の関係を維持していきます。

 

なぜ、ソフトバンクグループはガンホーを手放すのでしょうか?

 

成長に限界が見えたゲーム事業を切り離し、今後の買収資金確保のため!?

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 ガンホーと言えばスマートフォン向けゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」で知られるゲーム開発会社です。ソフトバンクグループ代表取締役社長である孫正義氏の弟、孫泰蔵氏が創設して会長を務めており、2013年3月、ソフトバンクグループはガンホーを連結子会社としました。

ただし、今回の株式売却でガンホーは経営上、ソフトバンクグループとの関係が大幅に弱まり、引き続き持分法適用会社の関係が続くアリババと比べると扱いが大きく異なります。

 

ガンホー株売却の背景

 2013年頃、ゲーム内課金やガチャの存在でスマートフォンゲームが成長株の1つとして大きな注目を集めていました。ただ最近では、日本だけでなく、先進国でスマートフォン自体の普及が一巡しました。一方で、現在スマートフォンの普及が急速に進んでいる新興国では、生活コストに対してゲーム内のアイテムの金額が高いことやユーザーがGoogle PlayApp Storeなどの支払いに必要なクレジットカードを作成できないなどの理由から、ゲームによる課金で売り上げを増やすこと自体が難しい状況があります。

 

今後の投資

 その代わりに、ソフトバンクグループは新興国に向けた投資を積極化しており、インドや東南アジアなどのECやライドシェアサービスなどへの投資を急拡大しています。新興国ではゲームといった娯楽よりもネットサービスや生活インフラに関連したことに注力しているようで、その分野での企業やサービスの買収が考えられるのではないでしょうか。

また、ソフトバンクグループはガンホーだけでなく、スマートフォンゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」で有名なスーパーセル株の売却も検討しているようで、ゲーム事業の成長性に見切りを付けたと推測できます。