Cygamesの新作『Shadowverse』がApp Store売上ランキングでトップ10入り!(2/2)
前回に引き続き、今回も『Shadowverse』の制作の裏側について取り上げます。
前回はゲームのコンセプトや他ゲームとの差別化ポイントを取り上げましたが、今回は前回より運営側に近いところから企画・開発の段階を取り上げていきたいと思います。
アナログとデジタルの融合『Shadowverse』
(出典:Google Play 「Shadowverse」 )
ゲームをデザインすることとコスト面からデジタル、特にスマートフォンで本格的なトレーディングカードゲーム(TCG)作ることは非常に難易度が高いことでした。
ゲームをデザインする
紙のゲームだとカードを印刷してルールを周知すれば、あとはプレーヤーが遊ぶだけなので複雑な効果も簡単に再現できますが、デジタルの場合は、実機上で再現させるときに相互作用といった要素も多く、開発に時間を要します。
コストを抑える
TCGを作るにあたり、カードイラストは非常に重要で、高いクオリティを担保した絵を揃えるのにコストがかかります。『Shadowverse』の場合は『神撃のバハムート』のクオリティの高いイラストが使えるということで、プロジェクトの座組は良かったようです。
ちなみに、『神撃のバハムート』のイラストは1万7000枚以上(進化差分含む)あり、そのうち『Shadowverse』では700枚程度(進化差分含む)使用しています。
今後、『Shadowverse』の描きおろしカードの追加も検討中のようです。
イラスト前提で作られていったクラス
(出典:株式会社Cygames HP)
もともとある『神撃のバハムート』のイラストをベースにして、うまく均等に分けられるようにクラスキャラクターの性格などが設定されたため、開発当初からエルフやヴァンパイアなど、7人のクラスキャラクターという設定だけはありました。先にイラストがあり、それに合わせてキャラクターの特徴やユーザー体験を考えるところから始まりました。
みんなでカードゲーム!『Shadowverse』の企画・開発の現場
チームしては、メインのゲームデザイナーほか10名ほどのスタッフと一緒にゲームデザインを行っています。はじめはどのようなカードを作っていくのか、というところから話し合い、その後、実際にカードを印刷して作りました。そうしてできたアナログのカード同士で対戦を行い、能力の強弱や面白さを話し合って修正や改善を繰り返していました。
デジタルに落とし込む際は、エンジニアも印刷した紙のカードを使って、カードゲームをやりこみました。ゲームの理解を深めることで、デジタルでもアナログのような再現性を実装できたのです。
2014年の冬頃、開発チームの体制ができはじめ、まるまる1年ぐらいは基本ルールの設定や、各クラスの骨子となるカードの開発に時間を割いてじっくりと開発しています。リリースまでは1年半ほど要しました。
最高の状態でリリースしたいという運営側の想い
(出典:Google Play 「Shadowverse」 )
『Shadowverse』は最初にアナウンスしていた時期よりもリリースが後ろにずれこんでいます。延びた理由は、カードコンセプトやカードの作成ではなく、アプリ側での演出や遊びやすさといった部分のブラッシュアップを繰り返し行なっていたためです。また、競技性の高いTCGなので通信対戦の仕組みといった裏側の部分の開発を入念に進めていました。
最高の状態でリリースしたいという運営側の想いのもと、社内で何度もレビュー・ブラッシュアップを繰り返し、テストプレイ(クローズドベータテスト※)も2回行いました。2回目のテストプレイではアメリカ、カナダ、オーストラリアといった海外ユーザーに対しても行われ、その結果を受けて改修を行い、サービスの開始に至りました。
まとめ
このように『Shadowverse』は企画の段階から常にユーザーにとって面白いものは何か、どうすればクオリティの高いものができるのかをチーム一丸となって向き合ってきました。その結果、リリース2日でApp Storeの売上ランキングトップ10入りを果たしました。
今後のCygamesは、アニメーション制作子会社CygamesPicturesの設立、背景美術に特化した草薙の買収、基礎技術開発の体制強化を目的とした研究所Cygames Researchの設立からわかるようにイラストやデータ分析の強化を図っています。『Shadowverse』の追加のイラストはCygamesPicturesや草薙が担っていくのかもしれません。