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「e-Sports」先進国の韓国、普及の理由はネカフェ!?

みなさんは「e-Sports」という言葉をご存知でしょうか?

聞いたことはあるけれど、具体的には何か知らないという方が多いのではないでしょうか。

 

e-Sports」とは

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(画像:Economy Decoded HP)

「e-SportsとはElectronic Sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。競技人口は全世界で5500万人とも言われています。

 

 そこで今回は各国の「e-Sports」を取り巻く環境について取り上げます。

韓国ではプロゲーマーのメッカといっても過言ではないほどe-Sportsが盛んに行われています。世界中の大会で韓国人プレイヤーが上位を総なめすることもあるようです。

 

e-Sports」先進国の韓国

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(画像:ファミ通.com HP)

韓国では大手企業が「e-Sports」のチームを持つことが主流になっています。プロ野球Jリーグのような形式が多く、企業側から監督やマネージャー、コーチなどを派遣して、会社の事業のひとつとしてチームをマネジメントしています。

 

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(画像:ファミ通.com HP)

e-Sports」流行の背景

韓国では国策として「ブロードバンドを充実させる」という考えのもと、国からの潤沢な支援によりオンラインゲームを行う人口が非常に増えました。2000年代初頭には、ネットカフェで学生や社会人が皆『StarCraft※1』をプレイする光景がよく見られました。『StarCraft※1』人気とともにその大会が催され、「e-Sports」の人気が伸びました。大会での八百長事件などの問題により一時的に「e-Sports」の人気は低迷したものの、昨年『League of Legends※2』がヒットし始めたのを皮切りに再び韓国の「e-Sports」は盛り上がりをみせています。

※1 宇宙での3つの種族(人間、エイリアン、宇宙人)間の戦争がテーマとなっており、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、勢力争いを行うPCゲームです。世界で最も多く売れたRTSゲームタイトル(戦略性に重点を置いたシミュレーションゲーム)として2009年06月にギネス認定されています。

※2  5vs5のチームバトルで仲間と協力して相手陣地にあるターゲット(拠点)を破壊することが目的のPC専用オンラインゲームです。総プレイヤー人口は約7000万人超えと言われています。

 

アメリカ、ヨーロッパでの「e-Sports 

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(画像:Economy Decoded HP)

アメリカやヨーロッパでは、個人でチームを作り、会社として設立・マネジメントをして、そこに対してスポンサーをつけていくという流れが主流となっています。

企業に「e-Sports」のチームや「e-Sports」に対する支援がなかった背景としては、企業側の「e-Sports」に対する認知の低さがありました。個人でチームや会社を作るという地道な活動により「e-Sports」の人口が増え、その配信に多くの人が集まり、ようやく企業が認知をしていきました。人が集まることで「e-Sportsには広告価値がある」と企業側が理解し、現在の盛り上がりがあるのです。

 

e-Sports」後発の日本

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(画像:SCARZ HP)SCA

日本の「e-Sports」チームはアメリカやヨーロッパと同様に個人からチーム、会社として活動していく状況です。「ゲーム=スポーツ」という文化が生まれなかった日本では、ゲームソフトメーカー主導の個別タイトルによるゲーム大会は行われていたものの、「e-Sports」のような大会は小規模開催に留まり世界からは「e-Sports後進国と認知されている状態です

ようやくプロゲーマー専門学校等が開校され、これから「プロゲーマー」による「e-Sports」が広がっていく段階といえます。「DetonatioN」、「DeToNator」などのプロチームも発足され始め、国内イベントもレッドブルが主催する「Red Bull 5G」を筆頭に大小さまざまなイベントが行われています。

 

まとめ

 今回、各国の「e-Sports」の背景や状況を取り上げました。世界における「e-Sports」の認知や理解は日本を大きく上回ることがわかりました。韓国では将来のなりたい職業ランキングトップ10に「プロゲーマー」が入るほど「e-Sports」は人気のようです。日本でも今後そのようなことが起こるのでしょうか。非常に興味深いところです。

さて、次回は「e-Sports」で生計を立てるプロゲーマーの生活や運営会社に焦点を当てます。