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「e-Sports」のプロゲーマー、気になる収入はいくら?

前回に引き続き、今回も「e-Sports」を取り上げます。

e-Sports」とは、「Electronic sports」の略で、コンピュータゲームで行われる競技のことです。近年、高額賞金のかかったプロの大会が大きく取り上げられ、世界的に盛り上がりを見せています。

調査会社Newzooによると、世界のe-Sportsの市場規模は、2016年には前年度43%増の4億6300万米ドル(約500億円)に達するそうです。2019年までには11億米ドル(1200億円)規模に成長すると予想されています。

 

日本でも「e-Sports」は盛り上がりの兆しを見せています。今回は日本初の「フルタイム勤務・月給制」のプロゲーマーチーム「DetonatioN Gaming」とそこで働く選手の生活を取り上げます。

 

「DetonatioN Gaming」とは

f:id:social-game-research:20160704202626p:plain(画像:DetonatioN Gaming HPより引用)

2015年1月設立の「DetonatioN Gaming」は、チームメンバー(マネージャー含む)が共同生活を行う「ゲーミングハウス」を立ち上げ、また日本のプロチームとして初の「フルタイム勤務・給料制※」を導入しました。チームに所属する選手たちは、職業として「ゲーマー」を選び、給料をもらいながら生活をしています。この制度を始めたきっかけは、選手の生活を安定させた上で世界を目指すためだそうです。

※「LoL部門チームDetonatioN FocusMe」は、2015年2月より国内初「フルタイム・給与制」となっています。

 

チームの収入源

 プロゲーミングチームの収益となるものは大会の賞金、スポンサー料、イベント出演料、そして動画配信ビジネスの4つです。従来のスポーツと大きく異なるのが動画配信です。動画配信では、プロゲーマーによる試合の模様を配信し、ユーザーとも直接コミュニケーションをとることができ、安定した収益源となっています。

 

 プロゲーマーの生活は過酷!?

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(画像:ライフネットジャーナルHPより引用)

 選手の活動は12時のミーティングから始まるのが日課で、昼食をとったあとは個人練習の時間となります。ゲームの大会は1月からシーズンが始まるため、開幕直前期は海外のチームとの練習試合を日に1,2試合を行います。試合後には反省会を行い、さらに個人練習時間を終えて、夜中になると各自就寝するという生活です。

選手は平日10時間練習を行い、週末は大会に出場するか、休日に充てるかという生活をしています。

 

月給は「高卒~大卒初任給」程度

 給与額は大会の実績のほか、練習や生活態度も考慮したうえで決定されます。月給はおよそ「高卒~大卒の初任給くらい」と言われています。さらに、大会で勝ち取った賞金やイベントへの出演料などの臨時収入は、ボーナスとして分配されます。「DetonatioN Gaming」所属の選手数人はすでに同年代の一流企業社員を大きく上回る収入を得ているそうです。

尚、韓国e-Sports協会によると所属するプロ選手40人の平均年収が約700万円、北米のアマチュアトップリーグの選手ではボーナス等を含めて870万円以上の年俸を手にしていることが明らかになっています。

 

まとめ

今回、国内のe-Sports」の現状を選手とチームの運営会社という視点から取り上げました。韓国や欧米に比べると、まだまだ発展途上な日本の「e-Sports」業界。その背景にあるのは「ゲームは趣味」という社会常識だったのかもしれません。しかし、日本においても「フルタイム勤務・月給制」という新しい仕組みができ、「ただのゲーム好き」は職業としての「プロゲーマー」に昇格したのです。日本でも着実に広まりつつある「e-Sports」に今後も目が離せません。