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「キャンディークラッシュ」で有名なKing社の歴史を振り返る!

関ジャニのCMでもお馴染みの「キャンディークラッシュ」。

今回は「キャンディークラッシュ」で有名なKing社(King Digital Entertainment PLC)の歴史を振り返っていきます。

 

目次

【1】King社とは

【2】創業から「キャンディークラッシュ」の配信まで(2003年~2012年)

【3】「キャンディークラッシュ」全盛期(2012~2014年)

【4】「キャンディークラッシュ」衰退期と買収(2014~2015年)

【5】買収後(2016年~)

 

【1】King社とは

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(画像:キング社HPより引用)

King社(キング・デジタル・エンターテインメント)はイギリスにあるモバイル向けゲームコンテンツの制作会社です。同社は2003年に設立され、2012年4月に代表作ともいえるパズルゲーム「キャンディークラッシュ」を配信し、総ダウンロード数 5億件を超え66カ国で無料総合1位を獲得しています。

 

【2】創業から「キャンディークラッシュ」の配信まで(2003年~2012年)

King社はマッチングサイト「uDate.com」の同僚であったRiccardo Zacconi氏とToby Rowland氏を中心に2003年にスウェーデンで設立されました。
オンラインゲームの開発を行い、その中でFacebookゲーム、モバイルゲームに注力していきました。

 

【3】「キャンディークラッシュ」全盛期(2012~2014年)

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(画像:Social Game Infoより引用)

スマホゲームに注力し、売上高は2000億円に

2009年度の売上高は約6000万ドル(約56億万円)でしたが、2012年に「キャンディークラッシュ」のリリースを境に増収し、2012年の売上高は約1.64億ドル(約144億円)、2013年の売上高はさらに増加して18.8億ドル(約2000億円)となりました。

大幅に売上高が増加した理由は、2012年以降、同社はスマホ向けゲームに力を入れたからです。2012年のモバイルの売上高は1600万ドル(売上構成比率約10%)、2013年では前年比約84倍増の13億ドル(同比率約70%)となりました。2012年7月から2年半で5タイトルリリースし、同社のスマホ向けゲームは累計5億ダウンロードを超えています。

 

1日当りの平均アクティブユーザー数(DAU)は1億2800万人

2013年12月、1日当りの平均アクティブユーザー数(DAU)は1億2800万人となりました。内訳は「キャンディークラッシュ」が9300万人、「ペットレスキュー」が1500万人、「ファームヒーローズ」が800万人、「パパピンボール」が500万人、「バブルウィッチ」が300万人となっています。

 

 【4】「キャンディークラッシュ」衰退期と買収(2014~2015年)

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(画像:King社決算資料より作成)

好調な業績を受けて、2014年3月、同社はニューヨーク証券取引所に上場しました。また、同年同月、King社の日本拠点となる「King Japan」オフィスを開設しました。

しかし、同社の売上高は2014年第1四半期から下降傾向で、DAUは2015年第1四半期より下降傾向にあります。「キャンディークラッシュ」の売上高減少が大きく、さらに同タイトルを超えるようなヒット作が生まれなかったためです。

2015年11月には、米ゲームソフト大手Activision Blizzard社(※)により59億ドル(約7120億円)で買収されています。

Activision Blizzard社は、人気の高いミリタリーシューティングゲームCall of Duty」シリーズやファンタジーゲーム「World of Warcraft」を手がけています。

 

【5】買収後(2016年~)

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(画像:Google Playより引用)

最近では、King社は、7月13日「ファームヒーロー」の姉妹作である「ファームヒーロー・スーパー」の日本語版の配信を開始しました。「ファームヒーロー・スーパー」では、田舎の農場を舞台に、コンテストの賞金を独り占めしているランシッドを倒し、平和を取り戻すストーリーが展開されています。オリジナル作である「ファームヒーロー」と同じ農場を舞台としたパズルゲームです。

 

まとめ

King社は「キャンディークラッシュ」のヒットにより成長しました。しかしながら、その後は、同タイトルを超えるようなヒット作を生み出すことができていません。同系統のゲームタイトルが並び、新規のユーザー獲得というよりも既存ユーザーからユーザーを獲得するという状況だと考えられます。King社のさらなる飛躍には、異なる分野のゲーム開発が不可欠なのではないでしょうか。